桜庭麻紀 (さくらば まき) さんは、ニューヨークに拠点をもつマキメド・インクの設立者であり、米国カリフォルニアに本部をもつ世界最大のフィットネス組織 Aerobics and Fitness Association of America (AFAA) 認定のパーソナル・フィットネス・トレーナー。

当初は医療翻訳・通訳の会社として起業したが、「自分が心から情熱をもって打ち込める仕事をしたい」と、長年のジム通いが高じ、フィットネスおたく歴10年目となった2006年に一発念起。フィットネス・ビジネスに衣替えした。

そもそも桜庭さんを“フィットネスおたく”にかりたてた原点は、彼女が14才の頃に発症した慢性(若年性)関節リウマチにさかのぼる。これは、自己免疫性・進行性の難病(膠原病の一種)で、激痛とともに全身の関節が侵される。すべての医者から「治らない」と宣告され、進学もあきらめるように言われた。最終的には車椅子の生活にまでなり、絶望の淵にあったという(詳細は、桜庭さんの著書「ガールズ・ビー・アンビシャス！」学生社刊参照)。

その後、東洋医学とめぐり会い、奇跡的な回復をみせ、高校にも復学した。

「漢方療法の先生には、当時の現代医学の医者と正反対のことを言われました －薬はやめて、とにかく運動をたくさんしなさい。自分の関節の動きを元に戻すことができるのは自分の筋肉だけだよ－ 確かに説得力はあったんですが、実行するのは並大抵のことではありませんでした。」

その後も、“医学の常識”をくつがえすような治療法にも、「自分の体と相談しながら」試み、着実に健康な身体をとりもどしていった。
「闘病生活で学んだことは、どんな病気であろうと、治癒のキーを握っているのは患者自身ということ。“どうしても治りたい”という意志からすべての道が開けるのだと思います。」

横浜の県立衛生短大卒業後、渡米。「外国で働きたい」という子供の頃からの夢を果たす。その後、高名なアメリカの整形外科医に出会い、最先端技術による手術を受け、1990年、ついに長年のリウマチの呪縛から開放された。

「皮肉なのは、私が最終的に治しそこなった股関節の機能を戻してくれたのが、最先端の現代医学だったこと。医の原点には、東洋・西洋の境界線はないことを学びました。」

筋肉と関節の機能回復には、いかに運動が大切かを身をもって学んでいた桜庭さんは、手術の翌日、主治医にリハビリの許可を求めると、医師は大笑い。翌日からすぐ理学療法士を配置してくれたという。「おそらく、他のどの患者よりも運動をしたと思います。1ヶ月もすると、まわりの人から驚かれ、モデルみたいに歩くねとほめられました。」

まるで別人に生まれ変わったような体験をしたという桜庭さんは、まもなく近所のスポーツ・ジムに入会。"フィットネスおたく”への道を歩むきっかけとなった。

1996年に出版された桜庭さんの著書『ガールズ・ビー・アンビシャス！』(学生社刊) は、朝日・読売・日経・東京新聞などに紹介され、大きな反響を得ました。

「カッコいいインストラクターがいたこともあり、彼女のようになりたくて、はまってしまいました。当初は、週6日くらい通っていました。はまればはまるほど、さまざまな運動の利点が見えてくるし、自分の体がどんどん改善され、若返ってくるような気がしてくる。10年前よりも、今の方がナイスバディです。ジムのインストラクターにならないかと言われたくらいですから、周囲の誰も、私がかつて車椅子生活をしたとか、人工関節置換手術を受けたなんて、想像もつかないと思います。」

桜庭さんは明るく笑う。

桜庭さんは 2006年6月より、“Equinox” という、ニューヨークのエグゼクティブや著名人を多数メンバーにもつフィットネス・クラブ専属のパーソナル・トレーナーとして勤務しています。